見果てぬ夢


米田盛彦

見果てぬ夢
(小型WIGとミニジェット)

§1、小型WIG
 WIG(Wing In Grand Effect)とは、日本では「水面飛行機」或いは「地面効果翼艇」と呼ばれているACV(Air Cushion Vehicel)である。
 20年程前、JANE年鑑を見て、A.リピッシュのX-113とX-114の両WIGを知り、WIGに興味を覚え、自分も造りたいと思い、色々調べたが、
このときは「空力中心の急激な移動による安定、及操縦性の問題」という壁に当り、早々に興味を失い、その後忘れていたが16年前、父と共に
木造のセールボートを造るようになり、長い間眠っていた虫が目を覚ますように再び興味が沸き出し、遂に6年程前、機会が有って、某大学の
教授と京都の機械メーカー等と共同で単座の小型WIGを試作した。しかしこのときは、技術的そして資金的問題の為、途中で頓挫し、開発は失
敗に終わった。
 しかし、1度目覚めた思いは容易に消し難く、このときのWIGの計画が中止になった後、次に造るべきWIGのことを考え続けてきた。
 ところで、父と私は元々建築を業としてきたが、故あっていつの間にか趣味が嵩じて、木造のセールボートやパワーボードを造るようにな
り、昨年末、突然の事故の為、父が亡くなるまでの約15年間、2人で約20余隻の木造艇を造ってきた。又、我々2人共「建築屋」「艇屋」以外
にも各々が夫々、短い間ではあったが嘗て「飛行機屋」として活動していたという過去があった。
 昨年、建造していた艇が完成後、年が明け次の艇に取り掛かり、私が現図作業をして、父の手の空いている間に主翼や胴体を造りその後は、
2人の時間の空いたときに機体を組み立てるということで単座の超小型WIGを試作する計画を立てていた。
 しかし、昨年末、父が突然の事故により亡くなった為2人でWIGを造るという計画は永遠に見果てぬ夢になってしまった。
 WIGは地面効果の内で翼の「誘導抵抗」が小さくなることを利用することにより揚抗比を向上させ必要馬力を小さくし、延いては経済性を向
上させることを狙ったACVである。
 ここで地面効果とは、グライダーが着陸するとき、地面近くまで降りてきて、エアブレーキを出さずにいるといつまでも接地できず着陸距離
が延びることがある。これは機体が地面に近づくと主翼の「誘導抵抗」が著しく小さくなることにより、「揚抗比」が向上して降下角度が浅く
なり、沈下率が下がることによる現象である。
 WIGは「地面効果」を利用して、空中に浮き上がった状態で水面から少し離れた空中を動く為、一般の船と異なりスクリューによるキャビテ
−ションの発生や船体の長さと速度の速長比等による速度の制限を受けない。
 因に、父と共に造る計画であった単座のWIGは僅か30馬力で時速200キロ近いスピードがでる代物である。同じ1人乗りのジェットスキー等
と比べても些か次元を異にする性能を持った乗り物である。
 6年前に試作したWIGは最初に教授より送られてきた1枚の3面図(図1)に基づき私が機体の構造設計を行ったもので、船検の規則の関係か
ら全長が6メートル以内に押さえられた結果、尾翼のみ複葉になっているが元々主翼と同じレベルの低い位置にあった主尾翼共に単葉であっ
た、そしてこの機体に京都の機械メーカーが設計製作したパワープラントを載せたWIGであった。
 なおこのWIGの構造は、全木製で、普通の木製軽飛行機と同様の「スプルース」の骨組みに「木華」の航空合板を張りWEST工法により機体
全体をエポキシ樹脂コーティングを施したものであった。
 このWIGの失敗の最大の原因は、「パワープラント」部分の約1.8メートルの延長軸に於てシャフトの中間部に1ヶのベアリングも入っていな
いという初歩的な機械の設計ミスであった。
 先のWIGの試作の作業が中止になった95年の夏以降、父と共に本業が忙しくなり、父が亡くなった昨年末まで数隻の艇を造ったが、先のWIG
の計画中止から5年後を目標にして、次に造る自分のコンセプトによるWIGの試作計画を立て、この間に先のWIGの失敗の原因の分析と反省、
そして、「リピッシュ」や「コルグ」又ロシアの「エクラノプラン」等のWIGの設計上の問題点の洗い出しを行ってきた。
 ところで、小型のWIGは大型のWIGと比較した場合、運用上の許容範囲が非常に狭い。
 その理由は、波の有る水面では波の影響は小型WIG程不利である。即ち、波の絶対的な大きさに対しては、大型も小型も区別が無い。その為
小型WIGが波の影響から逃れるには、潮等の波高の低い限られた場所での運用に限られる。これでは小型のWIGの実用性は無いに等しい。
 そこで小型WIGにも大型のWIGと同様の環境下での運用を考えると1時的にせよ、OGE(地面効果範囲)の外まで高度を上げる必要が有る。
即ち小型WIGの実用化を考えるとどうしても、ある程度のOGEでの運用能力が欠かせないのである。
 その為、次に造るWIGは、IGE(地面効果)内のみならず、OGEの運用能力を持つものでなければならないと考える。
 この他にもWIGには、上記の「波の問題」以外にも「安定と操縦性の問題」が存在する。以下に箇条書きにすると。

1)一般にWIGは、テイルモーメントが異常に短い。又、テイルボリュームも小さい。これで静安定はともかくとして動安定は問題無いのか?

2)低速時に舵の効きが低下する問題に関して、対策はどうするか?

3)「安定及操縦性の問題の解決方法の1つとして「自動安定システム」を備える場合、どのようなものにするか?

4)離水直後の急激な空力中心の移動によるピッチアップの対策はどうするか?

5)IGEのみならずOGEの運航を考えると、空力中心の移動の範囲が可也り大きいものになる。このとき「安定操縦性」の問題をどうするか?

6)PAR(Power Augmented Ram)を使う場合、推力変向の方法として、先のWIGで失敗の原因になった機械的推力変向システム(Tilt-
Propeller System)を使わず、空力的手段による、もっと効率の高い方法は無いか?

 これらの諸問題について考えた結果の解答といえるものが951101(図2)990502(図3)そして991201(図4)の超小型WIGである。
 まず、951101と990502について述べると、951101は先のWIGの試作中止直後に三面図に考えを纏めたWIGである。これらのWIGのコン
セプトは、「1人乗りのPAR-WIGの小型化の限界を極める」ということで、小型化によるメリットとして、製作コストを低いものにし、更に
取扱いも容易なものにするものである。
 そして、超小型、軽量化の結果、産業用ラジコン機の部品を使用することが可能である。ここで当然のことながら産業用ラジコン機の部品
は、一般の航空機用部品と比べて非常に低価格である。これらの部品を使用することにより、非常に低価格の超小型PAR-WIGの実現が可能で
ある。
 951101は、主翼を前進翼にして、翼端にネジリ上げ角を付け、重心位置を通常より前方に置き、主翼のみでも静的に安定させ、主翼単独の
固有安定を強化したWIGで、990502は離水直後の空力中心の急激な後退対策として重心位置を翼弦の50パーセントに置き水平尾翼にカンバー
を付け揚力尾翼にしたWIGである。
 又、両WIG共に低速時の舵の効き不足の問題の対策として尾翼の前にエンジンを取り付け、プロペラを回し、尾翼が常にプロペラ後流の内に
入るようにする。なお、離水時の急激な空力中心の後退と高度変化による前後移動に伴う縦安定の問題に関しては産業用ラジコン機用のジャイ
ロを使った自動安定装置とサーボ用いる簡単なFBW(Fly By Wire)により1種のCCV(Control Configured Vehicle)化することによる解決を
考えた。
 その為の操縦翼面として水平尾翼後縁のエレベータと共に、主翼前方のダクトファン後部のスラストベーンを利用することにより縦方向のコ
ントロールを行う。ところで、このスラストベーンは離水時にPAR(Power Augmented Ram)として、プロペラ後流を主翼と水面の間に吹き
込んで、揚力の増強をはかる為にプロペラ後流の方向を下へ向ける為にも使用する。
 機体をCCV化することにより、機体の固有安定がマイナスになっても安定の余裕が大きくなり、操縦操作が容易になると考える。
 ところで、一般に翼幅の小さな小型機は操縦が非常に難しい。しかし、951101と990502の両WIGは、CCV化することにより、横方向の操
縦を安全にしかも容易にすることが可能である。
 なお、951101と990502の構造は、両機共に、主翼と尾翼はスプルースの桁とスタイロフォームコアに航空合板をエポキシ系接着剤で張り
付けたコンポジット構造である。胴体は951101は6061-T6のパイプにFRP製のコックピットセクションを取り付けたもので、990502は、ビ
ニセルコアにガラスクロスを積層したF.R.Pサンドイッチ構造である。
 このように両WIGの構造は、コンポジット構造で、重量的に単純比較すると、木や金属と比べ少々不利なものであるが、このWIGを小型の水
上機として見た場合、最大荷重は、波による衝撃である。これに対する金属製機の外皮の増厚による重量増加等を考えるとコンポジット構造で
もあまり不利は無い。又、価格、及び製作工数に関しても治具の費用のこと等を考えるとコンポジットが有利である。加えて対海水腐食耐性、
疲労強度そして経年変化による材質の劣化等を考えると、コンポジット構造こそが小型WIGにとって最善の構造であると信ずる。
 ところで、昨年秋、パソコン用風洞実験シュミレーションのソフトが手に入ったので両WIGのコンピューターシュミレーションを行ったとこ
ろ、前方のプロペラ面と主翼前縁間の距離が不足していることと、尾翼面積の不足が解ったので、先のWIGの中止5年後の総決算として纏めた
のが991201(図4)で、現在のところ本名である。父の事故が無ければ今頃はWIGの機体各部が形を成し始めている筈であった。
 991201の構造は、これまでの経験から、翼はスプロールの桁とスタイロフォームのコアに樺の航空合板を張り、胴体はF.R.Pサンドイッチ
である。胴体は段が無く、最大断面の部分が全長の40〜50パーセントの処になるようにして空気抵抗の減少をはかった。
 991201は先翼と尾翼を持ち、空力中心の移動に対して、重心の許容範囲が広い形態である。そして先翼にはPARの為のエンジンとプロペラ
が付き、先翼のエレベータはプロペラ後流の偏向にも使用する。尾翼は990502や951101と同様に前端にエンジンとプロペラを取り付け、コ
ントロール翼面を常にプロペラ後流の内に入れることにより低速時の舵の効きを確保している。
 又、ACV研究会の村尾先生の論文により、先翼にPARの為のエンジンとプロペラを取り付け、先翼の後縁を下げプロペラ後流を偏向して揚力
の増大をはかる991201の方法が、5年前のWIGの推力偏向方法より優れた方法であるという確証を得ることができた。
 991201の翼断面はNACA・6409でNACAの4字系シリーズの内では、カンバーが大きく、WIGによく使われる翼型である。1時は層流翼の使
用を考えたが991201が運用される速度域では抵抗値が却って大きく今回は諦め次の機会に譲った。
 横方向の操縦にエルロンを用いず、スポイラーを使うのは、主翼後縁をフルスパンフラップにして、PARの効果を高めることが最大の理由で
あるが、もう1つの理由として、スポイラーの操縦感覚に興味が有ったからである。
 WIGは、飛行艇タイプが多い内で、敢えて双浮舟式の水上飛行機のような形にしたのは、翼下面と水面とのクリアランスについて、ある程度
変えることができるからである。
 このように、現在既に確立された技術を組合せ、できる限り技術的冒険を避けることにより、命取りになる可能性の有る、瑣末なトラトラブ
ルの原因を可能な限り排除した。
 ここで、敢えて技術的冒険を可能な限り避けた理由は地面効果内のみならず地面効果内のみならず地面効果外であっても運航可能なWIGを実
現する為、安定操縦性の問題を解決する手段として、WIGの寸法を限界まで小型化して、産業用ラジコン機用の自動安定システムとサーボによ
るFLY-BY-WIKEにより、CCV化することにより、安定及び操作の問題を解決することにある。
 即ち、WIGのコントロールシステムの技術的な完成こそがこの991201の操作の目的である。
 ところで、991201は実験用のWIGであるが一応実用機(船)としての用途も考えられる。まず1に考えられるのは、プレジャー用としてで
ある。この場合、ジェットスキー等他のパーソナルウォータークラフトと比較した場合遙に高性能でエキサイティングな代物である。
 そして、大型化して、パワーアップすれば警察等のパトロール及び救難の用途が考えられる。WIGを「海の日バイ」的な使い方をすれば通常
の船がWIGから逃れることはできないであろう。
 この991201のエンジン出力の合計は3台で僅か30馬力である。しかし、計算上ではあるが、時速200キロ程のスピードが出る代物であ
る。エンジンを、「無名標的機」用の推力60キロのジェットエンジンに交換すると最大速度が地面効果内で時速400キロクラスになり、実
現すればACVとしては最も速い物になると思われる。

§,2,UMV & ミニプレーン
 ところで、先のWIGの操作機を製作していた1995年1月17日神戸の震災が発生した。この時は、ヘリコプターから送られてくる影像情報
により、午前7時頃には神戸で何が起ったのか徳島に居ても知ることが出来た。
 この時はヘリコプターが活躍したが、ヘリコプターは天候に脆く航続時間の制約から現場に長時間留まることが出来ない。父と私は、この時
テレビの影像を見ながら「もし震災が神戸でなく、離島で発生したらどうだろうか」ということについて色々論じ合った。そしてその時の結論
の一つが、足が速く耐航性の高い艇とUMV(UN MANDE VEHICLE)を載せ、現場の近くで艇から飛ばし、各種情報を収集させ、必要が有れば
影像情報を艇に送る「艇とRPVの組合せによる情報収集システム」を考えた。
 この情報収集システムとヘリコプターを比較した場合の最大の利点は、船はいつまでも現場に踏み止ることができるということで、UMDを随
時交換させることにより長期に渡り情報を送ることができるということである。
 この頃、当方の工房では、本業の艇造りの方で、「トローラ」タイプの艇に関する問い合わせを度々受けたことも重なり、耐航性が高く、足
の速いトローラタイプの艇の資料が可成りの量手元に揃っていたので、その内から、「30フィートクラス」の艇を選び、この艇に載せて運用
することが可能なUMVについて色々考えた。
 この980301のコンセプトを纏めると以下のようになる。

1)低価格で高価格な材料を用いない。

2)建造に当たっては我々の手間を要しない。

3)RPVとしてばかりでなく、成人が一人乗ることが可能な最小寸法の機体。

4)パワープラント部分を簡単に取外すことができ、外せばそのままでグライダーにな        
     なること。

5)操縦が簡単で、事故を起こしても乗員の安全性が高いこと。

6)小さいスペースに簡単に分解して格納することが可能なこと。

 980301は、主翼を共通にしてエンジンの種類や胴体の形状等の異なるモデルが数種類有る。980301‐P-UMV(図5)はエンジンが10馬
力の双発で、その内-UMVは遠隔操作式の無人機、そして-Pは単座の有人機としたものである。
 980301は、通常の三車輪式の降着装置を取付けることにより、通常の滑走路を使って離着陸を行うことが可能である。しかし、実際の運用
に当っては、海上で艇の上に設けたカタバルトから飛立ち、着水(着陸)は、パラシュートとエアバックで行う。これによって、事故の発生率
が高い離着水(陸)の安全性を高め、操縦を容易にしている。(図6)
 980301の構造は、先のWIGの尾翼の構造と同じ、スプルースの桁、スタイロフォームのコアに樺の航空合板の外皮を張った主翼に、FRPサ
ンドイッチの胴体を組み合わせたもので、非常に簡単な構造である。そして、機体の主要部を共通化して、単座のミニプレーンとUMVの他にも
エンジンを外せばグライダーになるというものである。
 計画では、今年建造する19フィート艇が完成した後、次の艇の原図作業中2001年夏頃、この980301の主翼部分のみのプライマリーグラ
イダーを造り、近くの水面でテスト飛行をする計画であった。
 さて、毎年8月の阿波踊りヨットレースの期間は、レースに出るセールボートばかりでなく大型のモーターヨットも少な限ず徳島へ集まって
来る。数年前、そのようなモーターヨットの内に2人乗りのヘリコプターを載せた船が1隻有った。この船を見て、我々2人共驚いたが、その
時、父が「大きなモーターヨットにスピードの出る飛行機を載せることができたら面白いだろうなぁ」と言ったのがことの起こりで、私自身少
な限ず興味が有ったので、この時以降今日まで足の速い小型機と、少々大き目のモーターヨットの組合せについて色々考えてきた。
 990501(図7)は、その内の一機で、A.リピッシュのDM−1の流れを汲むデルタ翼機である。この機は、一応通常の降着装置も備える
ことが可能であるが、普段は980301のようにカタパルトで発進し、着水はパラシュートにより降下した後、エアバックにより着水の衝撃を吸
収すると共に、母船に回収されるまで、水面に浮いているというものである。その為この機のランディングギアは引込み式ではなく、取外し可
能な固定式である。
 990501の構造は、980301や991201と同じコンポジット構造であるが、主翼の桁フランジはカーボンファイバーで、外皮はS−グラスを
使用したFRPサンドイッチ構造である。
 エンジンは、最初標的機用の推力150キロの小型ターボジェットを使うつもりでいたが、計算してみると性能があまりにも低い為、市場に安
い中古品が可成り出廻っている475キロのターボジェットに変更したところ航続距離があまりにも短い為、結局ギヤレットTFE-109-1ターボ
ファンに合せ三面図を纏めた。
 990501は最大速度が人力操縦を使える上限に近く、しかも翼幅が小さい為特に横方向の操縦システムには安全増強システム(SAS-
Stability-Augment-System)を組込む必要があると思われる。
 ところで、990501程度の機体ならば、当方の工房で製作することは可能である。しかし、当工房は、航空機工場として運輸省の許可が無い
為、日本国の耐空証明を取得するのは難しい。
 そこで、対策として考えたことは、まず母船の船籍を日本にしないことである。そして、990501の耐空証明は母船の船籍国で取得すること
にして、当然のことながら、990501も母船と同じ国籍にする。なお、母船の船籍国の条件は、その国の航空機に関して「誰が造っても民間機
として登録メンバーの取得が可能な国」ということである。因に、このような国は、太平洋周辺諸国の内にも数カ国存在する。これによって
990501は世界中何処の空でも飛行することが可能となる。
 母船と990501の組合せによる運用の一例を挙げると、まず母船は太平洋の島々の内、日本から直接航空路の有る島の港を母港として普段は
その港に泊めておく。そして休暇には、日本から空路直接母船の居る島まで飛んで行き、母船にはこの990501の他にも、ジェットスキーやカ
ヌー等の道具を載せ、太平洋を巡る冒険航海を行なうということである。
 990501は、単座のスポーツ機としてアクロバット等の他に、胴体下のコンテナに200キロ程度の荷物を入れ、運搬することが可能で、陸上
との連絡等に使用することができる。
 これまで、父と私のコンビは、各々分担して大小の水製のセールボートを始めとして、カヌー及びパワーボート、そして、大小の木造建築か
らWIGや超小型軽飛行機まで、色々な物を造ってきた。今回、父が亡くなりこれまでのことを思い返すと2人の夢の実現の16年間であった。
 ところで、実用に耐える、小型のWIGを造ることは、我々2人にとってライフワークの1つであった。特に自分の造ったWIGに乗ることが父
の夢であった。そして、超小型機やRPVを造り飛ばすことは、他の誰にも真似のできない技術屋の喜びであった。
 ただし、父は、実際に人が乗るWIGや超小型機の製作に当たっては、非常に慎重であった。980301の場合、実際に人が乗る前に、UMVして
充分テストをして、人が乗れる物にしなければ計画の実行を許さなかった。その為、この機の実現が最後になってしまった。因に、我々2人は
16年間に大小20隻余りの木造艇を造ったが、その間に、艇の構造が原因の事故は皆無であった。父は、「自分がこれまでに造った艇で、乗っ
て頂いた人間を誰も殺したことは無い」と言って常々このことを誇りにしていた。なおこのことは、父のみならず私にとっても最大の誇りであ
る。
 最後に、突然の父の死により、これらのWIGや、超小型機を2人で造るということは、「見果てぬ夢」になってしまった。父亡き後、こらら
の仕事は、後に残った私自身のライフワークになった。今日、1人になって思うことは、是が非ともこれらの計画を実現させたいということで
ある。特に小型WIGは、先のWIGの中止の原因が我々ではどうにもならない部位の問題であった為、父は「次のWIGは絶対に真面な物にしたい
なぁ」というのが口癖であった。
 今は、これらのWIGや小型機の実現の為とあれば、私はたとえ如何なる異国の果てなりとも行く覚悟である。
 この文章を見て、WIGや超小型機に興味を持ち、これらの計画の実現に御協力頂ける方或るは是非御一報賜りたい。











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